マンション管理では、修繕積立金の値上げ問題や、管理会社・施工業者から提示される見積もりの適正さに悩まされる機会が少なくありません。
建築や法律の専門知識がない中で「この修繕計画や管理契約は本当に妥当なのだろうか?」「談合や過剰な工事提案が含まれていないだろうか?」と不安を感じることも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、専門家やプログラマーでなくても手軽に使えるAIツール(Google NotebookLM)を使って、「マンション管理にAIを活用して、法律やガイドラインに基づいた安全な運営を行う方法」を考えてみました。
なぜマンション管理にAI活用なのか?
マンション管理組合の運営には特有の課題が存在します。
- 専門知識の圧倒的な格差
マンション管理には多くの法令や国交省ガイドラインの知識が求められます。
理事を務める住民の多くは建築や法律のプロではないため、管理会社、施工業者、設計コンサルタントから出された計画・見積書・仕様書をチェックするのが困難です。 - 理事の1〜2年交代によるノウハウ途絶
多くのマンションでは理事が輪番制で交代するため、過去の交渉経緯や修繕履歴が次の期へスムーズに引き継がれにくい傾向があります。 - 不透明な見積もりや談合リスクへの不安
国土交通省からも注意喚起が出されているように、悪質な設計コンサルタントや施工業者による出来レース(談合)やバックマージンによって、修繕費用が膨らんでしまう懸念が指摘されています。
「管理会社や設計コンサルに管理業務を丸投げせず、自分たちが関心を持って取り組みたい。でも専門知識がない…」という課題を解決するために、AIを活用すべきと考えています。
普通のAIチャットにおける課題と「ハルシネーション対策」
最初に思いつくのは一般的なAIチャットへ相談することですが、ここには大きな注意点があります。それが「ハルシネーション(誤情報の出力)」です。
一般的なAIチャットに「共用部分の工事決議はどうすればいい?」と尋ねると、「区分所有法」や国土交通省の「標準管理規約」に存在しないことをあたかも正しいかのように回答してしまうリスクがあります。
マンション管理において間違った法律知識で意思決定を行うことは避けなければなりません。そこで注目したのが、Google が提供する無料AIツール「NotebookLM」を活用したハルシネーション対策です。
NotebookLM を使ったハルシネーション対策の仕組み
NotebookLM(ノートブックLM) は、ユーザー自身がアップロードしたPDFやドキュメントを根拠としてAIに回答させる機能(RAG / グラウンディング)を備えたツールです。
Web全体の曖昧な情報を探すのではなく、指定した公式ドキュメントの中から回答を抽出してくれるため、誤情報を大幅に抑え込めるメリットがあります。さらに、回答の根拠となった該当ページや条文が明示されるため、人間がハルシネーションをチェックしやすい点も魅力です。
NotebookLMの「ソースの追加」から以下のようなマンション管理関係の資料を読み込ませます。ソースの追加は直感的に操作可能です。
- 建物の区分所有等に関する法律
e-Govから取得できる日本のマンション管理の基本法律。 - マンション標準管理規約
国交省が公表している標準的な管理ルールや発注手引き。 - マンションの修繕積立金に関するガイドライン
国交省が公表している修繕積立金に関するガイドライン - 長期修繕計画作成ガイドライン等
国交省が公表している長期修繕計画作成に関するガイドライン - マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針
国交省が公表しているマンション管理適正化を図るための基本方針 - 民法
e-Govから取得できる相続や契約といった基本的な法律 - 不動産登記法
e-Govから取得できる不動産登記に関する法律 - マンションの再生等の円滑化に関する法律
e-Govから取得できる老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための法律 - 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
e-Govから取得できるバリアフリーに関する法律 - 建築物の耐震改修の促進に関する法律
e-Govから取得できる建築物の耐震改修に関する法律 - 住宅の品質確保の促進等に関する法律
e-Govから取得できる住宅の性能評価制度に関する法律 - 建築基準法
e-Govから取得できる建築物の敷地、構造、設備に関する法律 - マンションの管理の適正化の推進に関する法律
e-Govから取得できるマンション管理適正化推進計画の作成等に関する法律 - 都市計画法
e-Govから取得できる都市計画事業に関する法律 - 被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法
e-Govから取得できる大規模な火災、震災その他の災害等時の特別措置に関する法律 - 宅地建物取引業法
e-Govから取得できる宅地建物取引業を営む者についての免許制度等に関する法律 - 消防法
e-Govから取得できる国民の生命、身体及び財産を火災から保護するための法律 - 自分のマンションの「管理規約」および「使用細則」
自マンション固有の規約テキストやPDF - 自マンションの「長期修繕計画書」および「修繕見積書」
検討対象となる過去や現在の見積明細データ - 自マンションの総会、理事会資料と議事録
総会、理事会資料と議事録
などなど。
マンション管理にAIを活用する
上記資料を NotebookLM に読み込ませた上で、駐車場使用料について質問してみます。
「駐車場使用料はどのように積み立て、何の費用に充てることが推奨されていますか?」
NotebookLM回答:
国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」等において、駐車場の使用料については以下のような積立方法と費用への充当が推奨されています。
- どのように積み立てるか(会計上の処理)
「駐車場使用料会計」の区分設置: 特に機械式駐車場を設置している場合、その維持管理や将来の設備取替に多額の費用を要することが想定されます 。そのため、通常の「管理費会計」や「修繕積立金会計」とは区分して、独立した 「駐車場使用料会計」を設けること が推奨されています 。 残金の「修繕積立金会計」への繰り入れ: 駐車場使用料の収入から、駐車場の管理・運営(保守点検や修繕など)に要する費用を差し引いた 「残金」については、修繕積立金会計に繰り入れて積み立てるものとされています 。
- なんの費用に当てるか(充当する費用)
駐車場使用料は、主に以下の2つのステップで費用に充てられます。 駐車場自体の管理・維持管理費用(優先): まずは駐車場を適正に稼働・維持させるための、日々の保守点検、部品交換、機械の補修や将来の装置取替(機械式駐車場の場合)などの費用に直接充当します 。 マンション全体の「計画修繕工事」の費用: 上記の管理費用を差し引いて修繕積立金会計に繰り入れられた残金は、将来マンション全体で実施される外壁塗装、屋根防水、給排水設備改修などの大規模修繕工事(計画修繕工事)の費用として使われます 。 このように、駐車場使用料をただの管理費収入(日常の運営費)として使い切るのではなく、駐車場自体の維持管理に充てた上で、余剰金を将来の大規模修繕のための積立金に回すことで、マンション全体の確実な修繕計画を支える仕組みが推奨されています 。
上記はNotebookLMの回答です。
※ 上記回答はそのまま記事に貼り付けているので改行がおかしいですが、NotebookLM上ではきちんと改行され表示されます。
まとめ:AIをアドバイザーとしたマンション管理へ
今回は、プログラミングや開発を行わずに、無料の NotebookLM と公的なガイドラインを活用して「マンション管理にAIを取り入れる方法」を考えてみました。
専門家や管理会社にすべて任せきりにするのではなく、信頼できる公式ドキュメントを学習させたAIを管理組合のアドバイザーとして活用することで、専門家と話し合いができるようになると思います。
ご自身のマンションの管理組合や理事会活動において、無理のない範囲でAIツールを取り入れ、透明性の高いマンション管理を目指してみてはいかがでしょうか!

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